
弁護士 芳林 貴裕
奈良弁護士会
この記事の執筆者:弁護士 芳林 貴裕
奈良県出身。東大寺学園高校卒。京都大学法学部、同法科大学院を修了し、栃木県内の法律事務所にて企業法務案件等に携わった後、地元・奈良に戻る。事業承継や事業再生、廃業支援などの実務に幅広く従事している。
借金問題に苦しんでいる多くの方が、「もう少し頑張れば返せるかもしれない」「まだ弁護士に相談する段階じゃない」と考え、一人で問題を抱え込んでしまいがちです。しかし、借金問題は時間とともに状況が悪化していくことがほとんどです。
「いつ、弁護士に相談すべきか?」このコラムでは、その最適なタイミングについて、弁護士の視点から具体的にお伝えします。手遅れになる前に、ぜひご一読ください。
目次
1. 返済のために借金を繰り返す「自転車操業」に陥った時
「今月の支払いが足りないから、別のカードローンで借りてなんとかやりくりしよう…」
このような状態を「自転車操業」と呼びます。この段階に入ると、借金は雪だるま式に増えていき、将来的に返済できる見込みはどんどん遠のいていきます。
返済が苦しくなり、新しい借金で古い借金を返すようになった時は、まさに自己破産を含めた債務整理を検討すべき最も重要なタイミングです。この段階で相談することで、まだ選択肢が残されている可能性があります。例えば、自己破産だけでなく、任意整理や個人再生といった他の解決策も視野に入れることができるでしょう。
2. 返済期日に間に合わず、滞納や督促が始まった時
返済期日を一度でも過ぎてしまうと、金融機関や貸金業者から電話や郵送物での督促が始まります。これが続くと、精神的なプレッシャーは計り知れないものになります。
督促が始まったら、弁護士に相談することをお勧めします。弁護士に依頼すると、まず「受任通知」を債権者に送付します。これにより、通常は、債権者からの督促がストップします。
督促から解放されることで、冷静に問題と向き合う時間ができ、安心して手続きを進めることができます。
3. 給料の差し押さえを予告された時
借金の滞納が続くと、債権者は裁判所に申立てを行い、「債務名義」を取得します。これにより、あなたの給料や銀行預金などの財産を差し押さえることができるようになります。
給料の差し押さえが行われると、会社に借金の事実が知られてしまう可能性が高くなります。会社に知られることを恐れ、任意に返済してしまう方もいますが、これは特定の債権者のみを優遇する「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と見なされ、自己破産の手続きに悪影響を及ぼす可能性があります。
給料の差し押さえを予告された場合は、一刻も早く弁護士に相談してください。対応策を検討し、最善の道を探る必要があります。
4. 持ち家や車など、手放したくない財産がある時
「借金は返せそうにないけれど、この家だけは手放したくない…」
住宅ローンや自動車ローンを抱えている場合、自己破産をすると原則としてそれらの財産は処分されてしまいます。しかし、個人再生という手続きを選択すれば、住宅ローン特則を利用して自宅を残せる可能性があります。
ただし、個人再生は、自己破産よりも手続きが複雑であり、安定した収入があることなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
手放したくない財産がある場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、自己破産以外の解決策についても検討することが非常に重要です。
5. まとめ:一人で悩まず、できるだけ早く相談を
自己破産の相談は、「もうどうしようもない」と諦める前にすべきです。
- 自転車操業に陥った時
- 滞納や督促が始まった時
- 給料の差し押さえを予告された時
- 持ち家などの財産を守りたい時
これらのタイミングで、弁護士に相談することで、解決の選択肢が広がり、精神的な負担も軽減されます。
借金問題を一人で抱え込み続けると、状況は悪化する一方です。弁護士は、あなたの味方となり、最適な解決策を見つけ出すための専門家です。
借金に苦しむ毎日から抜け出し、新しい人生を再スタートさせるために、まずは一歩踏み出してご相談ください。当事務所では、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、最も適切な解決策をご提案いたします。お気軽にご連絡ください。